心理療法・カウンセリング
社会不安障害(SAD)の治療法には、大きく分けて薬物療法と心理療法の2つがあります。
現在は医学の進歩で、大変優れたお薬が発売されていますので、薬物療法だけでも効果は大きいのですが、重症の場合などは心理療法も併用して治療を行っていきます。
心理療法について

社会不安障害の治療に特に効果的であるといわれている心理療法は、「行動療法」や「認知行動療法」というものです。
行動療法では、わざと緊張場面に身を置き、その場面に「慣れる」訓練を行います。
認知行動療法では、間違った認知の仕方(物事の考え方や捉え方)を正すことで不安を和らげ、今まで避けていた状況に立ち向かう方法を身につける訓練を行います。
行動療法や認知行動療法には、ご本人の苦痛が伴う事が多いため、お薬の力を借りて不安や緊張をコントロールしながら行います。それでも、ご本人にはかなりの努力が要求されますので、専門の教育を受けた医師やカウンセラーと一緒に立ち向かうことが必要になります。
行動療法の種類
■エクスポージャー
不安症状を引き起こす場面や状況に擬似的に自分の身を置いたり、実際の緊張場面にわざと遭遇したりします。最初は強い緊張や不安を感じますが、時間がたてば、やがて次第におさまっていきます。その不安や緊張症状がおさまるまで十分な時間、その状況に身を置き続けることを繰り返します。つまり、不安や緊張状態に「慣れる」訓練を行うのです。この訓練により、過剰な不安症状・回避行動を和らげていきます。
■系統的脱感作法
不安や緊張状態とリラックス状態は相反するものですが、この原理を利用して訓練を行います。
まずご本人には自分を自分でリラックスさせることが出来る「リラクゼーション技法」を学んでいただきます。十分に体得できたら、比較的不安や緊張の度合いが低い場面から順に、実際にそのような状況に身を置いていきます。緊張を感じた場合は、体得した技法を使って自分で自分をコントロールし、リラックス状態を作り出します。これを繰り返し行うことで、今まで緊張していたはずの場面でもリラックスできるようになることを目指します。
認知行動療法の種類
■認知療法
「また失敗するのではないか」という否定的で無意識に湧きあがってくる思考や、「こんなに緊張して、自分は変な人だと思われる」といった認識の修正を目指します。
客観的に考えるとそんなことはない、そこまでではない、という状況なのに否定的な状況の捉え方をしてしまうことを"認知のゆがみ"と言います。代表的な"認知のゆがみ"としては、白か黒かの極論的思考やマイナス化思考、過度に"普通"にこだわる思考、"○○であるべきだ"という思考などです。医師やカウンセラーと一緒に、自分の思考パターンを探り、専門的技法を用いながら「実際はそんなことはないんだ」という客観的で正しい思考を行えるよう訓練します。
■ソーシャルスキルトレーニング(SST)
社会不安障害の方の中には、人との付き合い方が苦手な方もおられます。そこで、実際に社交的な場面において、どのように人と接するのかを医師やカウンセラーと対話しながら練習します。
特に社会不安障害の方の場合、自分の意見を主張する事が苦手な方が多いようです。そこで、ソーシャルスキルトレーニングの中でも「アサーショントレーニング」という自己主張の訓練が有効です。主張された側が不愉快を感じないような自己主張の仕方や意見の伝え方などを訓練します。
■理性感情行動療法
不安や緊張は、緊張する場面(刺激)によってのみ生じるのではなく、「また緊張してどうしようもなくなるに違いない」「どうせ自分は失敗してしまうんだろう」などといった、自分の中にある"信念"のようなものが影響して生じる、と捉える治療法です。
『緊張するような場面→緊張場面に対する自分の信念→結果』という図式で状況をとらえ、医師やカウンセラーと共にパターンを分析します。「緊張場面に対する自分の信念」に対して論理的に話し合い、客観的で妥当性のある信念にすり替えていきます。






