あがり症や赤面、ふるえ、動悸など社会不安障害(SAD)の方へ正しい治療で快適な生活を送るための情報サイト。

社会不安障害 (SAD)とは?

社会不安障害(SAD)とは、単なる“内気”や“恥ずかしがり屋”とは異なり、治療で きる疾患です。
性格などの問題ではありません。

社会不安障害(SAD)という病気

社会不安障害(SAD)という病気

  • 会議などで発表したり、意見を言ったりする。
  • 多くの人の前で話をしたり、歌を歌ったりする。
  • 多くの人から一斉に注目を浴びる。
  • 人前で電話をかける。
  • 権威のある人や、よく知らない人と話をする。

このような状況に自分が置かれたり、また置かれることを想像したとき、「緊張」や「不安」を感じることは、誰にでもあることです。
しかし社会不安障害(SAD)の人は、このような状況で、普通の人よりも強い“不安”や“恐怖”を感じます。
そのため、震えや動悸、発汗など、身体に緊張反応が出たり、いつもの自分なら喋れること・出来ることがスムーズにできなくなったりします。
また、“不安”や“恐怖”が堪えがたいほど強いため、社会不安障害の人は、そのような状況を避ける傾向にあります。
何回もそのような場面を回避し続けると、社会生活や仕事に支障も生じ出します。

このように社会不安障害は、社会的な場面に通常より強く耐えがたい“不安”や“恐怖”を感じ、そのために自分本来の力が発揮できずに自分の可能性を狭め、生活に支障をきたしてしまう病気です。

社会不安障害(SAD)という病態

■性別と発病年齢

男性と女性の社会不安障害(SAD)の罹患率は、調査によってまちまちですが、ほぼ同等です。
発病は、10代半ばから20代前半が最も多いと言われています。
アメリカで行われた調査によれば、発病年齢の平均は15歳とされています。
不安を持つ障害の中で、最も発病年齢が低いのが社会不安障害(SAD)の特徴です。
しかし、中年層にも多くみられます。中年層では、管理職等に就き、発言の責任が重くなったことをキッカケに発病するケースが多いようです。

■発病のキッカケ

社会不安障害(SAD)の発病

人によってさまざまですが、社会不安障害(SAD)と診断されている人の60%は、“不愉快な出来事”を契機に発症した、という研究があります。
実際には、
「人前で失敗して恥をかいた」
「人前で馬鹿にされて恥ずかしかった」
「大勢の前で発表をした時、自分が異常に緊張していることを自覚した」
などを発病時の自覚として話される方が多くみられます。

■社会不安障害(SAD)のメカニズム

社会不安障害(SAD)はなぜ起こるのか、その原因の詳しくはいまだ解明途中です。
一般的には、体質的な要因遺伝的な要因生物的な要因などの様々な要因が複雑に絡み合って生じる、とされています。

体質的な要因 人間は誰でも、緊張すると交感神経が高まるようなメカニズムを持っています。
交感神経が高まると、心臓の鼓動や呼吸が速くなる・細かく震える・汗をかく、などの身体変化が生じます。
人間は、このような自分の変化を感じ取り、自分の緊張を自覚します。
社会不安障害(SAD)の方の中には、このような交感神経の高まりによる身体の変化が生じやすい体質の方がおられるようです。
   
遺伝的な要因 これは、生まれ持った体質です。
全般性の社会不安障害(SAD)の方のご家族を念入りに調査すると、16%の方に家族内にも社会不安障害が見つかった、という研究があります。
しかし、社会不安障害は遺伝病ではありません。
家系的に持って生まれた体質である、と理解してください。
   
生物的な要因 人間の脳は、自分が置かれている状況を情報として大脳に入れる前に、情報の強さを調節するシステムがあります。
その刺激の強さを調節する脳内ホルモンが、ドパミンとセロトニンです。
社会不安障害の人は、このドパミンとセロトニンが上手く作用しないため、情報の強さを処理しきれずに、強い刺激のまま大脳に送ってしまう、と推定されています。
いわば、『脳内が不安や緊張を感じやすい体質になっている』といえるでしょう。
実際に不安や恐怖の感情は、脳の扁桃体(へんとうたい)が関係しています。
扁桃体は、いわば不安のスイッチとも言われています。
社会不安障害の人は、扁桃体の反応が敏感すぎるとも言われています。
■社会不安障害(SAD)に合併しやすい病気

社会不安障害(SAD)は、他の精神疾患を併発しやすい病気です。
社会不安障害を発病したまま放置しておくと、他の精神疾患を併発する割合が70%を超える、という報告もあります。
特に、うつ病パニック障害アルコール依存症などは併発率が高く、注意が必要です。

うつ病は、アメリカの調査では、70%の併発が報告されています。
パニック障害は予期しない状況でパニック発作という発作が生じる病気ですが、ドパミン・セロトニン・扁桃体などが社会不安障害と同様に病態に深く関係しています。似た部分のある疾患なので、併発リスクが高いのです。
また、アルコール依存症ですが、社会不安障害の方の20%程度に飲酒の問題が認められるといわれています。緊張する場面の前にお酒を飲んでホロ酔いになり緊張を和らげる、極度の緊張で疲れ果てた気持ちを和らげるために飲酒をする、などが多いようです。そのような飲酒は常習化しやすく、知らぬ間にアルコール依存症に発展してしまうと考えられます。

他の精神疾患を併発してしまうと、社会不安障害の治療が難航する傾向にあります。
心当たりのある方は早めに専門医の治療を受けてください。

■社会不安障害(SAD)の診断

社会不安障害(SAD)の診断は、ご本人のお話を詳しくうかがうことから始まります。
いつごろから、どんなふうに、どんな場面で、どのような状態になるのか、
この症状のせいで、どのような生活のしづらさが生じているのか、など、丁寧に聞き取っていきます。
また、睡眠状態や食欲、お仕事や日常生活の様子などもうかがい、その方の生活と病状全体を見立てていきます。
必要なら、STAIやリーボービッツの社会不安評価尺度、SADスケールなどの簡単なテストなども使い、重症度の判定も行います。
他の身体疾患の可能性を除外するために、検査が必要なこともあります(血液検査や心電図など)。
専門医としては、うつ病やパニック障害、アルコール依存症などの治療をしていても、社会不安障害が根底にある可能性を探りながら総合的に診断・治療していきます。

■社会不安障害(SAD)の治療

社会不安障害(SAD)の治療法には、薬物療法と、心理療法の2種類があります。
どちらの治療法が優れているのか、などというものではありません。
薬物療法と、心理療法は自動車の両輪のようなもの。
お薬を利用しながら日常生活で自信をつけ、緊張しなかったという成功体験を積み重ねつつ、
不安を感じる場面に慣れる、苦手という認知を変える、などの訓練を心理療法として行いながら治療を行っていきます。
詳しくは、社会不安障害(SAD)の治療法をご覧ください。